インファンティーノ会長の「権力」と「代償」—FIFAの頂点に君臨する男の現在地
FIFAの頂点に立つ男、ジャンニ・インファンティーノ会長。その日常は、まさに「国家元首」級のスケールだ。黒塗りの高級車の列が警察の先導で走り、専用ジェットで世界を飛び回る。先日もコロンビアの新大統領就任式に出席するため、同国サッカー連盟のラモン・ヘスルン会長の出迎えを受けてカリ空港に降り立った。南米サッカー連盟(CONMEBOL)のアレハンドロ・ドミンゲス会長も同行し、2026年W杯の「大成功」を称賛、「我々はジャンニと共にある」と語ったという。
しかし、その輝かしい日常の裏で、今FIFAはかつてない試練に直面している。インファンティーノ会長が推し進めた、男子W杯の商業権の一部を私募ファンドに売却する計画「FIFAフォワード・エンタープライズ」が頓挫したのだ。この計画は、ドナルド・トランプ米大統領の義理の息子、ジャレッド・クシュナー氏の兄弟と関連する企業が関与していたとされ、UEFAはFIFA大会のボイコットを辞さない構えを見せている。
冷房ゼロで涼しいミニギアAirio Pro インファンティーノ会長は謝罪しつつも、反発を乗り越えて「通常業務」に戻ろうとしている。しかし、それは容易ではない。UEFAのボイコット警告は依然として有効で、29日後に迫るポーランドでのU-20W杯でその真価が試される。欧州以外からの支持を追い風に、彼は簡単に引き下がるつもりはないようだ。
インファンティーノ氏の権力の源泉は、その人脈と資金力にある。トランプ氏との蜜月関係は有名で、2025年5月には中東歴訪に同行した際、パラグアイでのFIFA総会に2時間遅刻し、UEFAから「私的な政治的利益を優先している」と非難された。また、米国のベネズエラ侵攻の数週間前にトランプ氏にFIFA平和賞を授与したことや、ガザ再建を監視する「平和委員会」の発足会合にサプライズ出席したことも物議を醸した。
さらに、W杯での米国代表FWフォラリン・バログン選手の退場処分が取り消された件では、トランプ氏が「自らインファンティーノ会長に電話した」と発言。会長は「独立した機関の決定で、誰も影響を与えられない」と否定したが、疑惑は消えない。
インファンティーノ氏の報酬も話題だ。基本給220万ポンドに加え、変動ボーナス180万ポンド、さらに日当2万500ポンドを含めると、年収は約400万ポンドに上る。前任のゼップ・ブラッター氏の最終年度(260万ポンド)を大きく上回る額だ。
批判は多いが、彼を支持する声も根強い。記録的な収益を上げ、加盟協会への資金援助を拡大した功績は、特に欧州以外で評価されている。W杯前には111の協会が再選を支持しており、彼の立場は盤石に見えた。しかし、今回の計画頓挫で状況は一変した。UEFAはこの機を捉えて退陣を迫る構えだが、インファンティーノ氏はコロンビアの大統領就任式に出席するなど、政治との結びつきを強めている。彼の退場は、そう簡単には実現しないかもしれない。
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